どうしたら資料の購入費を会社に負担してもらえるかを考える

 利用率を改善しろと言うプレッシャーをかけられ、図書室を利用しない理由をアンケート調査した。
その結果として、読みたい資料がないという意見が多かった。
もっとも読みたい資料が無いといっても、利用者の傾向はマチマチだが。


・漫画や小説などしか読まないので、まじめな本しか置いてないので利用しない。
・必要な資料は自分で買っているので、図書室を利用する必要がない。


後者の必要な資料を自分で買っている層というのは、自主的に学ぶ事を習慣としている会社にとって有益な人達であり、えてして会社での影響力が強い。
この層のニーズを捉えておくことは図書室の存続にとって必須と考えられる。


利用率の改善のために素直に資料を充実させたいのだが、
いかんせん会社に図書の購入費を負担してもらうというのが骨が折れる仕事だ。


図書室:利用率を改善しろとおっしゃるなら、本を買ってください。
会社の財布:利用率が低いのに本なんて買えるか。
堂々巡りである。


このループを抜け出しお金を出して貰う為の、うまい説明を考えねばならん。


まず、会社で本買う目的の一つは情報資源の共有である。
価値ある情報を、全社員で共有することで全体の底上げを図りたいのだ。


そこで、会社のお金とか、各社員のお金ではなく、その総和としてメリットを考えたい。
お金の源である会社の利益を運転資金としたか、給与としたかの配分の違いに過ぎないんだよと。


そうすると、会社負担で本を買うのも、社員が個人負担で本を買うのも総和で見ればどちらも同じ負担だ。
しかし、本を買った社員だけに便益を留める場合に比べて、会社全体で共有することでその便益は何倍にもなり得る。
会社で本を買って共有する方が総和としてはオイシイ話である。


また会社負担で本を買った場合と、社員が本を買って寄贈した場合も図書室としては同じ状態になるけれども、
税引前の利益から会社経費とした場合と、所得税を引かれた後の社員の給料から買う事を比べたら、会社負担で本を買う方が総和で見れば得だ。


 


うーん。色々考えてみたけれど。
資料を揃えると利用率が改善し、共有による便益が向上するという事が裏付けられないとイマイチな説明だなこりゃ。


私の直感は、資料がろくに揃っていない今の図書室の現状を踏まえると、ある程度資料を揃えていくことが利用率向上に大きく貢献するはずだと告げている。
その直感を実証するためではないが、今のところせっせと資料を寄贈している。
なんとか裏付けが取れるようなデータが取れるとよいのだが。

図書館総合展2011 あの子は誰?

 ツイッターで図書館総合展のアカウント(libraryfair)を見かけたので覗いてみたら、背景が可愛い女の子だった。


誰だろうと思って、図書館総合展のサイトにアクセスしてみたけど女の子の情報は載ってなさけだ。
メールでお問い合わせができるっぽいけど、さすが・・・


しかたなく、googleで「図書館総合展 モデル」とか、google画像検索してみたけど見つけられない。
てわけであっさり断念した。情けない情報探索スキルである。


こんなことなら情報探索スキル獲得のために司書の勉強しとけばよかった。
毎年あんなに司書資格取得者が多いのは、気恥ずかしいレファレンスを自己解決するためだったとは。


んなわきゃないか。



それはさておき、画像から他の情報をたどると言うのはまだまだ難しいさを感じる。
ソーシャルメディアの盛り上りで、みんなが自由に写真をネットにアップする時代になったけど、
付与されている情報が投稿者本人がつけたもタイトルだけというのでは物足りなさを感じる。
そんでもって周りが付与する情報が「いいね」とかささやかなコメントじゃ役立つ情報が増えていかない。


コミュニケーションの活性化という仕組みとしてはうまく機能しているように見える。
だけども、やっぱり投稿された写真を役立つ情報群として昇華していく仕掛けが欲しいよね。



さぁ、今年の図書館総合展では情報の取り扱いについてどんなヒントをくれるのか、
ブースもフォーラムを早くも気になってきた。

とある新入社員との会話

 「会社の図書室って意味あるんすか?
つまんなそうな本ばっかりじゃないっすか。」

・・・生意気な新入社員が入ってきたもんだ。
図書室の恐ろしさを教え込まねばならんな。

「会社の図書室ってのは、社員を合理的に教育するための機関なんだよ。
君は新人研修に参加中だと思うけど、その研修には講師を呼んだりと費用がかかる。
それだけじゃない、研修に参加している時間、つまりその時間を使って稼げたはずの利益という隠れたコストがかかるんだ。
図書室はというと、資料を購入するには費用がかかる。しかし読書をするのは社員のプライベートな時間なんだ。
つまり、研修と違ってその分のコストをかけずに社員を教育できるって寸法だ。」

「ずりーっすね。つったて俺、勉強嫌いっすから本なんて読まないっすよ」

「これから本格的に働く君には実感が持てないかもしれないけれど、仕事をするにあたって必要な知識・情報の多くは図書室にある資料から探せるんだ。
これが何を意味するかと言うとね、図書室にある資料を見もせず、知らない・分からないという事は通用しないってことだ。
図書室を利用せずにそんな事を言っていると、会社は君に怠慢という評価をするだけなんだよ。」

「・・・」

「まず君の場合はビジネスマナーから学んだ方がいいな。はい、<サルでもわかる敬語入門>。
そうそう、君はいずれ出世して偉くなるつもりなんだろ。
この図書室は、新入社員から社長まで満足できる品ぞろえになっているから、遠慮せず一生学び続けてくれたまえ」

変化を見せる試み

資料は偉大でその価値は何年も年十年も発揮し続ける。
けれども、新しい資料の入ってこない図書館はすぐに飽きられ廃れてしまう。
てなわけで、うちの図書室も新しい資料を継続的に受入れるように気を配っているんだが、
いまいとつ新着情報がうまく利用者に届いていない気がする。
メールや掲示板でお知らせを出しているのだが、本を読むことにあまり興味がない人にとってはインパクトが薄い。
もっと新着資料が目立つように、日々新しい資料が入っているんだよという事をアピールすべく、図書室をプチ改装してみました。
壁に立てかけるようにしないと不安定な本棚という制約があり、壁に沿って本棚を配置していたのだが通路から覗いても本棚の横面しか見えないという状況でした。
そこで、通路に面する側にブックトラック置いて、そこに新着コーナーを移しました。
ブックトラックだと、高さがほどほど(120cm位)であり、本と本の隙間から後ろを見通せるので心理的な圧迫感がないかなと思ったり。


これで、新しい本が増えている事に気づいてもらえるといいな。

レイアウト
ブックトラック


 


 

机上の図書館

 半年ほど前から会社の図書室の開設・運営を行っているが、実はその前にも会社に図書館はあったんだ。
私の机の上に。

 

経緯を話そう。

 

私が入社した当時は中途採用がメインで、新人さん向けの研修制度というのが確立されていなかった。
その上、畑違いの仕事に就いたもんだから基礎知識からして足りない・・

 

しかたなく一人で入門書を読み漁る日々がスタートしたんだ。
そんな状態を続け、なんとか仕事が手についてきたなんて思ったりもしていた矢先に事変が起こる。
上司や先輩が大量にやめていく。補うように新人が入ってくる。私と同様に基礎知識が足りない人たちが。

 

そこで図書館を始めることにしたんだ。
知識不足で困っている新人さんのために、いや新人さんを促成培養しないと仕事が回らない自分のために。
「図書館はじめました。」の看板を掲げ、机の上に50冊ほどの本と手書きの貸出ノートを用意して。

 

でも、やっぱり会社にはちゃんとした図書館が必要だよなと願いながら、地道に机上の図書館運営を続けていたところ、ある日突然に図書室作っていいよと言うお達しを頂くことになった。
そんな訳で今の図書室運営が始まったのである。

 

4月です。新人さんがたくさん入ってくる季節です。
会社に図書館が欲しいと思っている方、図書館に勤めたかった方、机上の図書館から始めてみませんか?

絵本を贈ろう

 同僚から日本ユニセフのやっている「ちっちゃな図書館」プロジェクトに乗って絵本を贈ろうという声かけを頂いた。
良い企画だと思うので図書室も賛同という形で、集めた絵本置き場という場所と、埋蔵図書カード(大した額じゃない)を提供することにした。


ところで、この「ちっちゃな図書館」プロジェクトで気になる注意書きがある。


※多くの子どもたちが共有するため、新品や新品に近い状態のもののみをお願いします。(書き込みや破れのあるものは不可)

事実上、寄付をするには新しい絵本を買って提供しなければいけない人が結構いるってことだ。(一人と一猫生活な私もそうだ)
新しい絵本をそれぞれが個人で購入するよりも、その分のお金を取りまとめて絵本を買った方がダブりや不適切な絵本が集まる無駄を省けるのではないかと。
その一方で、寄付する個人が絵本を選択する自由がある楽しさが、無駄が出る以上に絵本がたくさん集まるインセンティブになるのかとも思ったりもする。


まぁ急ぎの話なので、考えるよりもまずは行動か。きっと子どもたちに喜んでもらえると信じて。



さて、絵本を選ぶ楽しさについてだけど。
子どもが自分で好きな絵本を選ぶよりも先に、まず親が選んで子どもに与えるとのがあるとおもう。
この絵本を読んで、あんな成長を遂げてほしいという願いをこめて。

当然、子どもは親が選んだ本のすべてが気に入るわけもなく、取捨選択してお気に入りを見つける。

親はその反応を見ながら、次に与える絵本を選ぶ。

子どもはまた取捨選択してお気に入りを見つける。


という風な絵本選びコミュニケーションを続けることで、子どもの個性が育まれるんじゃなかと。



で、私が子供のころ好きだった絵本はと言うと
これとか はじめてであう すうがくの絵本 (1)
これ3びきのこぶた (美しい数学 (6))

その結果、しっかり考えられるわりに、やることテキトーだよねと言われるような成長を遂げましたとさ。

資料データの情報量はOPACの利用率に貢献する?

 かき集めた資料350冊から始まった図書室ですが、徐々に資料の登録件数も増えてきて図書500冊、雑誌550冊という状況になりました。
今まで会社になかった新しい資料が増えたことで、多少なりとも利用される兆しが見えてきたといった感じです。
図書資料の増加分の大半は寄贈によるものです。感謝感謝。
さて、貸出と違って、いまだ利用されている気配がないのがWebOPACです。
この程度の資料数だと、検索なんかするより図書室にきて本棚をブラウジングしたほうがお目当ての資料がすぐ見つかると思われているのだろう。うん、そうですね。OPACで検索出来る情報が、本の表紙レベルなんで・・・
貸出をするために装備を優先し、資料データの質なんかちっともこだわらなかった結果ですが、
WebOPACの検索結果から、本棚ブラウジングでは出来ない資料との出会いを演出したいとも思い、やっぱりデータも大事かなと考えなおしたり。
そんなわけで最近は雑誌の特集記事の遡及入力なんかをやって情報量を増やそうと頑張ってます。例によって、NDL-OPACの雑誌記事索引検索を流用で。
ただ、残念なことにデータを作る手間ってのがバカにならない。
正直なところ件名をせっせと付与したり、細目いれるなんてことは小規模図書室じゃ無理。
情報量豊富なデータを国会図書館なり、出版元なりが整備して安価に提供してくれないかと本気で願っている。

天気予報を使って利用率をあげよう

 諸事情により3連休の予定がみんなキャンセルとなっておりました。


で、土曜日は思いつくままに飲みに行って終電が無くなり・・・
日曜日はブログのテンプレートを修正しようとしてレイアウトが崩れ、直そうとするたびに泥沼にはまり、結局一晩かけて1から作り直し。
本日は、ほったらかした家事をまとめてやるわけですが、こんな日に限って雨。洗濯めんどくさいです。


予定がなくても天気予報くらい確認しておくんでした。
こんな天気なら週末に買い込んだ本をじっくり読みふけりたい。


ふと閃いたんだが、金曜日に天気予報を確認して「週末の天気は雨だそうです。図書室で本を借りませんか?」とアナウンスをしたら利用率があがるんじゃないかと。
幸い、企業図書室なら声をかけてすぐに反応が返ってくる可能性は高いはず。思いついたら30秒で図書室にいけるんだから。


社会人で本を読まない理由として、時間がないというのは結構ある。だが暇が出来るタイミングで本を差し伸べられたらどうだろうか?
試してみようじゃないか。

図書室の地震対策どうすんべ

 地震の影響はまだまだ色濃く残っており、図書室も節電に協力ということで、利用するときだけ明りをつけるという運営となっています。


でも、WebOPACのサーバーを日中稼働させています。
情報提供の役割など、本当に必要なサービスまで止めると、色んなとこが停滞して長期的に見てマイナスになると思っていますので。
(それを強く主張できるほど、まだまだ図書室の利用率はあれですが。。。)
一応、夕方の電力消費ピーク時には、サーバーがシャットダウンするようにタスクスケジューラーに設定をしています。



さて、今回の地震によるうちの図書室の被害状況はというと、本が数冊落ちただけ。
震度5強だったのですが、物理的な被害はほとんどなし。
savelibrary @ ウィキ – 東日本大地震による図書館の被災情報・救援情報 で各地の図書館の被災情報をみてみると、さすがに震源に近いところでは建物への甚大な影響が出ている様だが、震源から少し離れれば書棚から本が落ちたというのは多いが、書棚が倒れたという程ではない様だ。
となると、地震対策としては書棚から本が落ちないようにという対策をとっておけばまぁOKという事だろうか?



それと気になるのは、システムへの影響。ほとんどの図書館はシステム化していると思うが被災情報としてあがっていないけど問題無かったのか。
本は買い直せるし、書誌データは作り直せるけど、貸出履歴はそうはいかないでしょ。
公共図書館は履歴を残さないケースが多いかもしれないが、学校図書館なんかでは履歴は生徒の思い出だから。
やっぱりバックアップは大事ですね。今後はバックアップ目的でのクラウド利用が加速されるのかな。



無理やりまとめると、こっちも大変なんだよってみんながみんな言う様な状況じゃなくて、
こっちは大丈夫だから、ほんとに大変なところを支援しようっていう雰囲気になるように対策していきましょうってことで。

夜の図書室

地震の影響で電車が止まってしまったので、夜の図書室をのぞいてみました。
すげー楽しげです。ずるいです。
夜の図書室
追記
ニュースを見て改めて今回の地震の被害状況の大きさに愕然としました。
地震で被災された皆様に、お見舞い申し上げます。
日常の楽しい空間としての図書館、図書室の復旧の為に協力したいと思っております。