FXのおそろしさを知る

FX取引画面

あけましておめでとうございます。
ブログの更新を丸1年さぼってましたが生きてます。

年明け早々、FXに手を出し失敗したという残念スタートで始まった近況報告でもしようと思う。
FXで一発当ててやろうといった魂胆があったわけではなく、スマホだけでATM操作できる便利さに惹かれてAUじぶん銀行に口座開設をしたところ、証券口座も一緒に作るとお得ですよ、FXはじめるとお得ですよといった各種キャンペーンについつい乗ってしまったのがきっかけである。

もともとFXは丁半博打の様なもので、通貨の上がり下がりで行うギャンブルだと思っていたので嫌煙していた。だが宝くじは愚者の税金と言われるほど控除率が高いし、有馬記念なんかは1年通じて馬の情報を追ってない人間にはいまひとつ没入できない。かと言ってソシャゲのガチャは勝っても負けても時に虚無を生む。
そんな事を考えると、FXは違法性もなく1/2の確率で勝敗の決まる良心的なギャンブルにも思えてくる。

そんな自己洗脳を施しながらレッツトライである。とりあえず証拠金という名の軍資金を口座に10万円ほど入れて取引を始めてみる。
まずは取引通貨の選択。ニュース等でなじみのあるUSD/JPYを見てみる。116前後の数字が表示されていてこれがレートだとすぐわかる。青いボタンを押せば売る、赤いボタンを押せば買うという事の様だ。

FX取引画面
FX取引画面


ポチっと赤いボタンを押して見たところ、何の確認メッセージもなく買いが入る。そして合計損益に赤字で40円の文字が。真ん中の0.4という数字は売値と買値の差額で、取引した瞬間にこの分だけ損するという事らしい。これがスプレッドという名の寺銭か。
合計損益の数字は数秒もすると、40円が80円になったり60円になったり20円になったりとどんどん変わっていく。そうこうすると青字で20円の表示になったので、ポチっと青いボタンを押して売りを入れる。
20円の儲け確定である。子どもの遊びの様な金額でなんか安心した。操作方法は分かったのでもう一度やってみる。スプレッドの金額は0.4で固定ではなく微妙に変動する。0.3とか0.5とか。どうやら最小が0.2の様なのでこのタイミングで買いまたは売りを入れる。取られる寺銭は少ないにこしたことはないだろう。
20円の赤字からスタートして、青字で儲けが出るタイミングでボタンを押す。簡単なゲームだなと思って何度かやっていると、タイミングが微妙にずれてスプレッド0.2で押したつもりが0.5だったり、儲かったと思った瞬間に押したのに損が出たりするのでムキになってくる。行きつ戻りつしながら、缶ビール一本くらいの儲けを貯めたところでちょっと異変が起こる。

10円単位で動いていた損益が、100円単位で動いたのだ。損する方向で・・
どうしようどうしようと思いつつ見守っていたら500円ほどの赤字損益になったところで値動きが安定する。ここまでいくと、ちょっと待っても青字の儲けラインまで戻らない。
しかたない。えいやと思って買い増しである。いわゆるナンピンというやつだ。損益の動きが倍増でドキドキしながらスマホを見つめる事30分。なんとか値が戻る。ふー赤字脱出である。
儲けが戻ったことに気をよくして再び参入である。ついでにささやかな儲けで缶ビールを開ける。なんとなく勝ち方も分かったし、ピンチを脱出できる方法も分かった気になっている。ビール3本目のお代わり料金まで儲けたあたりで再び異変が起こる。
先ほどの異変とは比べ物にならないスピードで値が動く。損する方向で・・・
10秒程の間に2000円の赤字である。ちょっと何が起こったのか理解できない。
酔いも覚める衝撃だが、再びナンピンして祈る作戦に出る。が、エラーで実行できない。「証拠金が不足しています。」ん?10万円もあるのに?今更ながら操作マニュアル的なものに目を通す。どうやらレバレッジの最大が25倍でそれ以上は取引できないという事らしい。よくよく確認してみると注文数量の1単位は×10,000という事で1ドル116円を1単位ポチっとしただけで116万円。2回目のポチで232万円。証拠金10万円だと250万円までの取引ということになる様だ。子どもの遊び様な金額のやりとりだと思っていたのに計算すると恐ろしい。

ナンピン大作戦では2000円の負けは取り戻せないと分かったが、酔っぱらいはこんなことでは諦めない。次の作戦がある。
FXに手を出したのはキャンペーンがきっかけ。そのキャンペーンの中に取引量に応じて最大5万円キャッシュバックというのがある。50万通貨取引ごとに500円というもの。だが1ドル116円のUSD/JPYレートでは一度に2万通貨し取引できない事が分かっている。取引通貨の変更だ。MXN/JPYで行く。メキシコペソは5.5円。米ドルの20倍、1度に40万通貨取引すらできる。200万通貨取引しきってキャンペーンで2000円取り戻そう。
だがこの作戦は苦戦を強いられる。今まで最小の1単位で勝負していたが×10での取引開始である。当初損益が100円単位で動くことを異変と感じ出ていたが、この状態だと当たり前のように秒単位で数百円動く。ナンピンだなんて追加で買い増せば秒で1000円動いてしまう。
そして米ドルで吹いた悪い風向きは変わらない。ただちょっとスプレッドを取り戻してプラマイゼロの取引を数回やりきるだけなのにこれができない。時折プラスの風も吹いて1000円儲ける、だが赤字の2000円まとめて埋め合わせようなんて思ったら数秒後にまた赤字になっている。
悪い風は連続で吹く。3000円の損だと思っていたら5000円の損になっている。時折追加で買ってみる。損の幅が6000円になる。現実逃避で漫画を一話読んで祈る。損の幅が2000円に縮んでいる。もう一話読む。8000円の損に拡大している。証拠金不足でもう追加で買えない。ただ祈りながら漫画を読んでは画面を見る。そんな事を繰り返しているうちに深夜を通り越して朝が近付く。
風向きは一向に変わらない。被害は拡大していく。最後の勇気を振り絞る。「投了」だ。このまま明日に期待して眠ってしまったら取り返しのつかない事になる気がした。
数十円の損益のやりとりをしていたはずなのに、気づけば万円の損を確定させる全決済ボタンを半泣きでぐっと押す。

寝よう。そして地道に働こう。