大学図書館の方からの話で、学生が絵本を探すときに、検索欄に「絵本」と入れて検索しているというのを聞いた。
直感的に絵本に関係する本は出てきそうだけど、絵本そのものはHitしないだろうなと思った。
でも、他に絵本だけを検索する方法があるかなと考えても、よい方法も思い浮かばない。
とりあえず試しにCinii Booksで色々と検索してみました。
フリーワード検索欄で、「絵本」で検索すると18,693件Hitする。
紀伊国屋書店の児童書のカテゴリをみると32,214件件なので、なかなか妥当な数字なのかな。
項目ごとで検索してみる。
タイトルの項目で検索すると16,843件Hitする。
Hitした資料を見てみると、確かに絵本がHitしているのだが、一見するとタイトルに"絵本"の文字はない。
よく見ると、シリーズ名に絵本が含まれる試料が多く、これらがHitしている様子。「ふしぎいっぱい写真絵本」「講談社の創作絵本」とか。
著者名の項目で検索すると206件Hit
「大村市オリジナル絵本制作委員会文」「井村, 禮子(絵本)」など。
出版者の項目で検索すると456件
「絵本塾出版」「絵本館」など。
注記の項目で検索すると2,208件
「付録: 絵本のたのしみ」「企画・編集: 梅花こども・絵本・児童文学センター」「初版: 1990年1月、第27刷よりシリーズ名を「かがくのとも傑作集」から「かがくのとも絵本」に変更」など。
Hit件数はそこそこだか、バラバラな感じで網羅性はなさそう。
件名の項目で検索すると1,421件
思ったよりHitしない印象。主題が絵本であることと、その本が絵本であるとは別の話ということかな。
フリーワードでは検索できない分類、資料種別についても試してみる。
分類の項目でNDCの726.6で検索すると8,722件Hitする。
NDLCのY17、Y18でも検索してみると、Y17は3,822件、Y18は1,844件。
フリーワードの検索でHitしていた絵本の半分くらいは726.6の分類が振られている計算。残りは、絵本の主題にあわせてそれぞれの主題の分類が振られてるみたい。
分類付与の基準はどうなっているんだろう?
図書館によっては、ローカルの分類記号は別置記号でEなどを振っている所も多く、所蔵館のOPACでは分類記号Eで絵本だけを抽出できそう。
ちなみに公共や学校図書館で多く使われるTRCマークでは、絵本の分類は全部"E"で、別途絵本の主題分類を振るという2段構え。
知識絵本も探せます!~絵本の主題分類|TRC データ部ログ
http://datablog.trc.co.jp/2008/06/27143000.html
資料種別で検索してみようとすると、絵本という選択肢はなくてできない。
NACSIS-CATの資料種別コード表をみても、やっぱりない。
https://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/INFO/newcat/jissou_siyo/code.gmd.html
こちらも図書館によっては、絵本というカテゴリを用意している。
例えば関西学院大学のOPACでは資料形態の選択肢に絵本がある。
http://opac.kwansei.ac.jp/
Cinii Booksにはないけど、図書館のOPACを見ると配置場所などで分けている事例もある。
武蔵野美術大学のOPACとか。
http://library.musabi.ac.jp/webopac/catsrd.do?system=1410409518075
まとめると、図書館が独自に絵本を配置場所なり、資料種別なんかで区別している場合はそれで探すのがいい。
そうでない場合は、「絵本」と検索窓に入力するのも適している。少し意外な感じもしたけど。
カテゴリー: つれづれ
ブレインテック×SLiiiC 「発見!図書館システムを学校図書館活性化につなげる方法」の感想
3月8日実施のブレインテック×SLiiiC 「発見!図書館システムを学校図書館活性化につなげる方法」の感想などをちょっと書いておこう。
Twitterのまとめは↓参照
http://togetter.com/li/639684
今回のイベントは使っている図書館システムに関わらず共有できる話題ということで、図書館員が本の紹介用に作成するPOPをOPACに反映させてみようというネタ。
手順は以下の通り
1.資料の備考欄にレビューを登録
備考、予備項目など図書館が自由に使える項目があるので
2.イメージ画像を登録
表紙画像、配架図など登録する機能を流用して
3.項目名称を変更する
備考→紹介コメント 利用者に分かる名称に
4.OPACに備考を表示する
普段使わない項目はOPACに表示されてないので
5.OPACのフリーワード検索の対象から備考を外す
検索ノイズになるので
以上
OPACに反映させるのは、Webサイトを作って同じことをやるより色々敷居が低いし、手書きPOPと違って汚れずデータ蓄積できるから。
レビューじゃなくても、どこどこの入試に使われたとか、今月何回貸出されたとかを登録してもいいし、授業で取り組む読書感想画とかを写真に取って反映してもよしです。自由に使えばいい。
とまぁこんな感じで、ちょっとした機能の組み合わせとアイデア次第で楽しく図書館システムを使おうという提案ですが、課題として感じたのは現場で実践できるか?ということ。
マニュアルはカタログの延長程度で、使いたい機能があることを確認できても、いざそれを使うには説明不足。また学校図書館現場では、直接ベンダーに操作の問い合わせをする事が出来ないといった状況。
色々ももどかしいですが、トラブルが起こった時だけでなく日常的に図書館現場とベンダーが一緒に取り組める環境ができればもっと面白くなるんだろなと感じますね。
蔵書を使ってクリスマスツリー
クリスマスイブなので、明大図書館のブックツリーについて書いてみよう。
話題を知らない方のために概略。
「ブックツリー作りました」
↓
「図書館がみずから本の利用を阻害してどうする!」
↓
<炎上>
↓
「撤去しました」
細かい流れは、まとめ読んでください。
http://togetter.com/li/604802
ところで、こんな流れを知らずに
「蔵書を使ってクリスマスツリーを演出して話題作りましょう。閉架にあるまったく使われてない本で」
と提案されていたら、どう返答したかを想像してみる。
「Yes」って言っただろうな。
メリットを考えると、季節感を演出して利用者の目を引く話題作りができる。
リスクを考えると、リスクの発生確率(請求可能性ほぼ0) × 影響度(蔵書の取出に余分な手間がかかる) と非常に軽微。
リスクとメリットを天秤にかけたら、「Yes」って結論づけるな。
「浅はかだ。」「もっとやりようがあった。」などというコメントは結果論だと思う。
ブックツリーの様に前例があるものを、たっぷり時間かけて検討なんてしないから。
いやはやこの炎上は、我が身に起こってもおかしくなかった話だ。
同じ失敗はしないように気を付けようとは思うものの、少々失敗したところで、テンポよくたくさん仕事したほうが生産性が高いでしょと思ってしまうので仕事のやり方はそうそう変えられない。
ちょっといいなと思った大学図書館の案内など その2
大学図書館のサイトを回って、これいいなぁと思った取り組みなどを紹介します。
rarySite/libIndex.html)
ちょっといいなと思った大学図書館の案内など
代替時給180円 図書館で行われた低賃金労働 アナザーストーリー
“代替時給180円 図書館で行われた低賃金労働“という見出しが目に留まった。
この図書館では、区からの委託で蔵書約2万冊に盗難防止シールを貼ることになった。作業に参加したのは、図書館のパート職員12人。休館日を除くほぼ毎日、本来の業務終了後、当日勤務の2、3人が館内で2、3時間程度の作業を行った。本来なら時給で報酬が支払われるが、図書館側は作業を「内職」と呼び、シール1枚あたりの報酬を7円とした。単に本にシールを貼るだけではなく、本を書棚から持ってきてチェックリストを作成し、貼り付け後に照合するなどの作業が必要だった。作業が順調に進んでも2時間で50枚余りしか貼ることができなかった。これでは時給180円ほどにしかならない。
Aさんが再三訴えたため、会社側はシール貼り作業の一部を通常の勤務時間内に行うことを認めた。作業効率は上がったものの、時給は300~500円程度止まり
図書館用語から見つける図書館らしさ
図書館員とコミュニケーションしてみよう!カーリル図書館用語ランキング
図書とするか雑誌とするかそれが問題だ
本を読み終えるたびにブクログに登録するようにしている。同じタイトルの本が並ぶと面白みが欠ける気がして雑誌と漫画は登録しないことにしている。
ただ、一冊だけ予期せず雑誌として登録されてしまった本がある。Story Seller Vol3だ。どうやら小説新潮の別冊という位置付けのようだ。
実際この本に限らず、別冊とか臨時増刊号など図書とするか雑誌にするか悩ましい本はたくさんあるだろう。
NIIが提示している「目録情報の基準」をちょっと覗いてみよう。
http://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/MAN/KIJUN/kijun4.html
2.2.1 図書と逐次刊行物
本基準において図書とは,いわゆる図書及びパンフレット等の印刷資料には限定せず,さまざまな資料形態の単行資料全てのことをいう。また,逐次刊行物とは,資料形態の種別にかかわらず,終期を予定せずに逐次刊行される資料全てのことをいう。
すなわち,両者の区別は,対象となる資料の刊行方式にのみかかわる。なお,本基準においては,逐次刊行物を雑誌とも呼ぶ。
モノグラフシリーズ等,両者の境界領域の資料は,双方のファイルにレコードを作成することが望ましい。すなわち,図書ファイルに一つ一つのモノグラフのレコードを,また,雑誌ファイルにモノグラフシリーズ全体のレコードを作成する。
ただし,境界領域の資料について,参加組織が一方のレコードのみを作成する場合は,以下の基準によることができる。原則として図書扱いとするもの
モノグラフシリーズ,刊行頻度の極度に低い逐次刊行物,差し替えを行うルーズリーフ出版物,等原則として雑誌扱いとするもの
年報(モノグラフシリーズを除く),年鑑,要覧,Advanceもの,等解説(図書ファイルと雑誌ファイルの違い)
境界領域の資料の個々の巻号に「固有のタイトル」が存在する場合,図書書誌ファイルにおいては,個々の巻号の単位がレコード作成単位となる。
一方,雑誌書誌ファイルにおいては,レコード作成単位は逐次刊行物書誌単位であり,個々の巻号の情報は記録されない可能性が高い。
したがって,個々の巻号の単位の書誌情報の記録・検索を保証するためには,図書扱いが望ましいことになる。
逆に,個々の巻号に固有のタイトルが存在しない場合,図書ファイルにおいては,個々の巻号の所蔵状況の検索は困難である。従って,所蔵情報の記録・検索を保証するためには,雑誌扱いが妥当である。
どっちともとれる本は図書にも雑誌にも登録しとけ。どっちか選ぶときは検索しやすい方にしとけ。と言っているようだ。
図書としても雑誌としても受け入れるよだなんて懐が深い。さすがNACSIS-CAT。
ただ実際のところCiNii Booksで色々検索してみても、図書と雑誌と両方に書誌登録されている本はあるけれど、
図書館それぞれ、どちらかに所蔵をつけているようだ。図書と雑誌の両方に所蔵登録をつけているケースは見当たらない。(※)
データではなく現物を扱う事を考えれば、図書館としては保存期限とか貸出ルールとかを考慮しながら図書か雑誌のどちらかに決めるしかないのだろう。
たいていの図書館システムでは、図書と雑誌両方にデータ登録なんかしたら、蔵書冊数が合わないだの、蔵書点検で不明本が出ただのとトラブルの元だしね。
ところで、この図書とも雑誌ともとれる本にコピー請求した場合はどうなるんだろう?
国立国会図書館の案内「著作権にかかわる注意事項」からコピーできる範囲について一部抜粋しよう。
http://www.ndl.go.jp/jp/service/copy/copyright.html
・単行本 本文の半分まで。
目次についてはその全部。「はしがき」や「解説」があればそれぞれその半分まで。
・雑誌・新聞(最新号を除く)に掲載された個々の論文・記事については、その論文・記事全部を複写できることになっています。
図書と雑誌で受けられるサービスが違うのだ。翻してみると著作者の権利が守られる範囲が変わってくるということだ。
色々なことを含めて考えると、図書か雑誌をどうやって決めるのかだけでなく、そもそも誰が図書か雑誌を決めるのかなど気になってくる。
誰か詳しい人いたら教えてください。
(※)追記:個別タイトルを持つ雑誌は、図書と雑誌両方に所蔵をつける館もあるそうです。調べが甘くてすみません。
書籍販売を担当してたころの思い出話
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本を紛失したら、いくらの損?
うっかりビールこぼして、読んでいる本がびしょ濡れに。