都道府県立の横断検索はすべて「カーリル Unitrad API」に置き換わる?


"もう検索中にお菓子は食べられへん。"
試せされた方は分かると思うけど、速すぎてビックリですね。
ちょっと気になったのは、詳細検索で分類とか出版年指定してもきちんと絞り込まれない。
精度よりも再現率を重視というコンセプト?
今までの横断検索と根本的に違うっぽい。
まぁシステムの素晴らしさは一旦置いといて、
今回のプレスリリースで衝撃を受けたのは既存の市場に本格的に参入することだったりする。
横断検索の速さという技術力だけでなく、価格も提示しているところがポイント。
今までカーリルは一般利用者向けのサービスだったので、各都道府県の横断検索システムはそのまま共存していたが状況は大きく変わりそうである。
"カーリルは数年以内に使えない横断検索システムを駆逐したいと考えています。"という挑戦状に対して各ベンダーがどういう手を打つのか興味深い。
選択肢はいろいろあると思うけど、すぐに思いつくところで。
①カーリルより使えるものを作る。
②価格競争をする。入札であれば、最低限必要な仕様を満たしてあとは価格勝負。
③カーリルに乗っかる。検索エンジンはカーリルでインターフェースだけ作るとか。ILL連携など追加機能で頑張るとか。
④撤退する。横断検索に割いていたリソースを、業務用のシステム開発に。
⑤何もしない。既存のシステムが優先される可能性も高いので。
実際ベンダーの動きは、図書館側がどういう声を挙げるのかにもよると思うけど。
横断検索の"使える"、"使えない"をどう捉えるか?
ほんとに「速さ」が重要ならカーリルが席巻するか、もっと速いサービスが出てくるだろうし、
他に大切な「機能」があるなら、それに応じた形の横断検索が出てくると思う。
今回のカーリルの発表は、図書館もベンダーも横断検索について考えるいいきっかけだなと思う。
数年後のシェアの移り変わりは分からないけど、何らかの形で今より使える横断検索が出てくると思う。
出てこなったら、カーリルすげぇではなく、図書館業界思考停止やべぇという状況だろう。
【プレスリリース】 「カーリル Unitrad API」の運用を開始します
http://blog.calil.jp/2016/04/unitrad.html?m=1
京都府図書館総合目録 (カーリル Unitrad APIを採用した横断検索)
https://www.library.pref.kyoto.jp/cross/cross.html
京都府立図書館の新システム(KMSI構築)リリースへの反響-カーリル Unitrad APIの衝撃-
http://togetter.com/li/960347
横断検索ナビ-Jcross
http://www.jcross.com/navi/

カーリルタッチの機能紹介

色々ありまして、カーリルタッチを使った図書館運用をお手伝いする事になったので、今日はカーリルタッチの設定について紹介しようと思います。
カーリルタッチとは棚に設置されたマークをスマートフォンで読むと、テーマにあわせた様々な情報をナビゲートしてくれるというもの。
イメージが湧かない方は、カーリルのサイトでデモ動画などを見てください。
カーリルタッチはICタグを読み取って使うものですが、QRコードの読み取りでも使うことができます。
「図書館総合展」をテーマにデモを構築(※1)したので、まずは下のQRコードをスマートフォンで読み取って試してください。

今日はこのデモでナビゲートさている情報について説明します。
カーリルタッチの設定は、タグ事にモジュールと呼ばれるパーツを選んで設定していきます。
表示するモジュールの順番を変えたり、同じモジュールを複数表示することもできます。

それでは、設定できるモジュールを見ていきましょう。
■基本のモジュール
・タイトル
設定した文字がそのままタイトルとして表示されます。
・バナー(ランダムバナー画像)
設定した画像をバナー表示。複数のバナー画像を設定してランダムで表示させることもできます。
・タッチ回数
今まで何回タッチされたかを表示します。

■カーリルのモジュール
・図書館OPAC
設置したキーワードのOPAC検索結果を表示します。→に進むと結果一覧を表示。さらに→に進むとOPACの詳細に飛びます。
・カーリルで検索ボタン
カーリルサイトに飛び、設定したキーワードの検索結果を確認できます。

■一般のモジュール
・Wikipedia
設定したキーワードのWikipedia情報を表示します。
・掲載論文
CiNii Articlesの検索結果を表示します。
・リンク
リンク先の説明と、URLを指定できます。
・テキスト
指定したテキストを表示します。
・HTML(※2)
HTMLを記述できます。上記のテキストではよりも多彩な表現が可能です。
・ランダム画像+テキスト
設定した画像を表示します。複数の画像をランダムに表示されることもできます。

■国立国会図書館モジュール
・レファレンス事例
レファンス協同データベースの検索結果を表示します。
・調べ方ガイド
リサーチナビの検索結果を表示します。
・デジタル資料
国立会図書館コレクションの検索結果を表示します。
・雑誌索引検索
NDL-OPACの雑誌雑誌索引検索の結果を表示します。

他にも管理サイトで出来ることは色々ありますが、とりあえず今日はここまで。
アイデア次第で、図書館をもっとおもしろくできますね。図書館から飛び出すのもありです。
(※1)デモ環境は予告なく内容変えたり、消すかもしれません。ごめんなさい。
(※2)HTMLのモジュールは自由度がかなり高いです。
Google Feed APIを使って、「図書館総合展」を含むはてなブックマークエントリーを、自動表示させることもできました。
Twittrのウィジェットの埋め込みも問題なさそうです。

カーリルウジェットを試してみた

今週いっぱい夏休みなので、岐阜県中津川市にあるカーリルさんの所に遊びに来ました。
中津川では町興しのため「とりトマ丼」を流行らせようと頑張っている様です。
そんな訳で今日のブログは隣で開発している人を横目に、先日リリースされた「カーリルウジェットの感想です。
カーリルウジェットを貼ると、本の情報と表紙画像に加えて、図書館の蔵書状況が表示されます。↓
(サイドバーにも貼ってみたところ、横幅が自動的に縮小されてきちんと収まるようです。)

カーリルで開く


本の情報や表紙画像を表示できるウジェットというのは巷に多数あるが、やっぱり図書館の蔵書状況を表示できるサービスってのは他にない特徴ですよね。
OPACのブックリスト機能であれば、もちろん蔵書状況(貸出状況)も表示されますが、OPACと連携した形で他のサイトで蔵書状況を表示させるサービスって他に無いですよね。
リンクリゾルバのサービスを導入されている所も増えていますが、所蔵状況は分かっても貸出状況はOPACページに飛ばないと分からないパターンは多い気がします。そう言った意味でカーリルウジェットっありそうでなかったサービスだなと感じます。


カーリルウィジェットにひとつ望むとしたら、カーリルウィジェットは各自がカーリル上でお気に入り図書館とし設定した図書館の蔵書状況が表示されるわけですが、どこの図書館の蔵書を表示しているかを明示してくれたらいいなと思います。(お気に入りの図書館の蔵書、調布市の図書館の蔵書、とか)

図書館の公式ブログなんかで、このウジェットを使う事を考えると、
例えば中津川市の図書館の公式ブログにこのウジェットを貼って、そこに東京都民がアクセスすると東京都の図書館の蔵書状況が表示されるという状況になるのでちょっと混乱しそうです。

できるなら図書館IDを指定して、特定の図書館の蔵書状況が表示されると、各図書館サイトで自館の所蔵を示すウジェットとして活用しやすいなと思いました。

参考
ブログやサイトと図書館を簡単に連携! 「カーリルウィジェット」が正式スタート:カーリルのブログ

カーリルタッチは検索を変える!?

 カーリルから「カーリルタッチ」という新しいサービスが発表された。


カーリルタッチは、図書館の本棚から、様々なインターネットの情報に簡単につながる仕組みをつくるプロジェクトです。

自分のスマートフォンを棚のマークにタッチするだけで、テーマにあわせた様々な情報にナビゲート。本棚を眺めたあと、貸出中の本もすべてチェック。読みたい本を予約できます。様々なウェブサービスとも連携し、図書館の本とインターネットの情報を行き来しながら楽しく情報探索できます。


デモ動画を見ると、
597.9分類のサインにスマフォでタッチする。→表示される画面で○○図書館の本を選択する→該当する本が表示される。
という流れ。
気になる本(分野)を見つけたら、その場でタッチするだけで関連分野の本の検索・予約ができるサービスってことね。
目の前の本棚に並んでなくても、借りられている本も、閉架書庫にしまってある本もすぐに確認できるのはいい。
分野だけじゃなくて、この作者の書いた他の本をチェックしたいとか、テーマ展示として飾られていた本が気になるとか、そういう使い方もできそう。

カーリルタッチの巧みなところは、OPACにアクセスして検索窓にキーワードを入力するという検索の形を、棚のマークにスマフォでタッチするという形に転換したことだと思う。
OPACを分類で検索するなんていう、便利だけど難しい検索の仕方を簡単に体験できるのが素晴らしい。
表記の揺れとか、典拠とか色々ややこしい話はあるけれど、検索名人である図書館員の知恵をうまくマークに閉じ込められたら、素敵な体験を利用者に届けられると思うな。


カーリルのモバイル版を使ってみた

 カーリルにモバイル版登場とのことで試してみた。


まずは、現在地から候補となる図書館エリアを選んで設定と。
GPSで自動的に地域にあった図書館エリアを候補表示してくれるのは楽だ。
公共図書館の横断の他、近所の大学図書館を選べるのか。


エリア設定が終わったら、続いて本をさがすと。
検索ボックスの下に”今のおすすめ”ってことでキーワードが表示されてる。
「思想」「英語」「ヤングアダルト」
携帯でキー操作をするのはめんどいと思うので、テキトーに気分に合った本を読んでみてねっという心遣いか。


とりあえず「英語」を選んで次に進んでみる。


まずは候補の本が表示されていく
・・・おそい
検索が遅いというよりは、本の表紙画像を表示するのに時間がかかってるっぽい。
5冊ずつ表示されるのだが、次のページの5冊見ようとすると、その度に待たされる。
表紙は見たいやつだけ表示にするようにしてください。


ページ送りをして探したい本にたどり着いたら、最初に選んだ図書館エリアに蔵書があるか確認と。
表示されている、5冊の本をまとめて確認できるようだ。


そすると、貸出可能な候補館が表示されるみたい。
そんで本のタイトルをクリックすると詳細がみれると。なるほどね。



あとは気に入ったのは検索結果の下に表示されている、今検索中のキーワードで著者名検索してくれる機能。
“今のおすすめ”機能といい、携帯で使うことを配慮して、キー操作が少なく済むようにしてくれているのだろう。



あぁでも、やっぱりインターフェースがどうのって言うより、
携帯に非対応のOPACからでも蔵書有無を調べられるってのは画期的なとこだよね。

#calil

 カーリルの中の人の以下の様なツイートを目にした。


カーリルでは、収益確保のため利用者のみなさまにお金をだしていただく方法を検討中です。これにより健全な運営とさらなる発展をめざします。

どうやら今のビジネスモデルじゃやっていけないようだ。
カーリルの収入源はAmazonのアフィリエイトという事だったので、勝手ながらちょっと試算してみよう。
Amazonのアフィリエイトは最大で売上の8%。ちょっと前のデータだが書店の一人当たり売上一位は、文教堂の約4600万とのこと。
カーリルも一人当たり売上が同じくらいになったとしても年間の収益は一人当たり368万円。そこから諸経費を引いて6割程度手元に残ると仮定すると利益はたったの220万ほど。
さすがにこれじゃカーリルだけで食ってはいけない。もっとも、カーリルを宣伝に、講演とか受託開発で稼ぐっていう選択肢もあるかもしれないが、そういうのは健全じゃないという事になるんだろう。



せっかく面白いサービスを提供してくれる方々が図書館の世界に現れたのでしっかり応援していきたいところ。
今後も新しいサービスを図書館の世界にもたらす方々の為にもちゃんと考えないといけない課題ですね。


カーリルの対象は主に公共図書館だけど、公共図書館(または図書館員)からお金を得るのは厳しいだろう。
根本となる財政基盤がガタガタだし、人件費削減でアルバイトスタッフばかりの図書館ではカーリルのせいで仕事が増えたと迷惑がっている人も多そうだ。


やはり、カーリルを使っている図書館の一般利用者からお金を出して貰うという選択になるのだろう。
素直に考えるならカーリルプレミアムといった感じのプラスαの機能を提供する有料会員サービスになるのだろうか。


例えば、新着情報のアラート機能などで新刊をいち早く予約できる情報サービスとか。
検索結果の並び順の重みづけを調整できるとか(出版年月日を優先するとか、貸出されていない資料を優先するとか)。


うーん。いいアイデアがすぐに浮かばない。
まぁ儲かるアイデアがあるなら自分でやっているさ、というベタな文句でアイデア不足を隠しておこう。


なんにせよ、新しいサービスで図書館を盛り上げていくという事は、一時的に図書館員の負担を増やしても、結果として図書館を取り巻く状況を良くするはずだと信じている。
もっと面白いサービスを提供してくれると期待しています。


(バナーに住んでいるデューイのキャラクターグッズ販売してもいいんだからね。)

カーリルローカルる

 カーリルがまた話題を呼んでいるとのことで、リリースされたカーリローカルを試してみた。


今まではamazonに登録されていた資料だけしか検索できなかったけど、今度はすべての資料が検索できますよって言う事と、自由な図書館の組合せで横断検索できますよという事らしい。


まずは、標準で用意されている都道府県を選んで、適当に横断検索をしてみた。書名、著者名、出版社、出版年月日が表示され、詳しくは各OPACで見てねと言う事らしい。まぁはフツーだね。


気になるのは、該当OPACではHitしないのに、カーリル経由だとHitする資料とか。色んな意味で大丈夫なんだろうか。


次に、横断検索を自分でカスタマイズして使えるってのを試してみた。正直これは使いこなせない・・・
ふれこみでは、・海の見える図書館横断検索とか・小田急線沿線横断検索が作れちゃうぜという事だったが、選択する図書館を図書館名でしか検索できないんだもん。「小田急」で検索すると候補0館だし。
(カーリルの図書館APIとGoogleMap連動したアプリがあった気もするから、頑張ればできるのかもしれないけど)


もっとも、他の人が作って公開したものを使えるので頑張って作らなくてもいいわけだが、こうなってくると横断検索を検索する機能とかが欲しくなってくる。



今の時点では、未対応やエラーが多くてβ版?って感じだけれど、Hitしなかった時に「ほぼ見つかりませんでした。」という中途半端なコメントがなんとなく好きです。



やっぱりカーリルで気になるのは、どうやって儲けてるのってとこだけど、その話は今度にしよう。